告訴・告発した事件についての不起訴理由の告知

告知

不起訴理由の告知義務とは

検察官は、告訴・告発がされた事件について不起訴処分をした場合に、告訴人・告発人などから請求があったときには、検察官は速やかに、告訴人・告発人などに、その理由を告げなければならないと定められています。

この不起訴理由の告知は、口頭でもよいと解されていますが、実務上は、書面によって告知が行われています。

刑事訴訟法261条

検察官は、告訴、告発又は請求のあった事件について公訴を提起しない処分をした場合において、告訴人、告発人又は請求人の請求があるときは、速やかに告訴人、告発人又は請求人にその理由を告げなければならない。

目的

刑事訴訟法261条の目的は、刑事訴訟法260条の処分結果の通知義務とあわせて、告訴・告発を行った人に対して、その事件の不起訴理由を知る機会を与えることで、検察審査会への審査の請求の検討を容易にすることで、間接的に、検察官の裁量権の行使を適正にするためであるとされています。

告知内容

請求を行った告訴人・告発人に対して行う告知の内容は、「起訴猶予」、「嫌疑不十分」、「嫌疑なし」、「時効完成」などといった、不起訴の端的な理由(裁定主文)で十分であるとされています。

不起訴記録を閲覧させたり、記録の一部を示したりすることは、不起訴理由の告知の範囲を超えていますし、訴訟に関する書類を公判前に公にしてはならない旨を定める刑事訴訟法47条に反し得るため、通常は行うことができません。

第47条

訴訟に関する書類は、公益上の必要その他の事由があって、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。
但し、公益上の必要その他の事由があって相当と認められる場合は、この限りでない。

不起訴理由の概要の告知

告訴・告発が受理された事件であっても、嫌疑が薄い事案なども含まれる事があり、告発は事件と無関係の第三者からなされることもあることもある上、被疑者の嫌疑は裁判によって認定されたものではありません。

そのため、不起訴の端的な理由を超えて、証拠の内容や評価などの詳細を説明することについては、被疑者などの利益に配慮しなければならず、通常、慎重にならざるを得ません。

しかし、検察庁では、平成11年4月から施行されている被害者等通知制度の下で、被害者、その親族又は親族に準ずる方が希望する場合には、不起訴裁定の理由の概要も通知することが可能になっています。被害者等通知制度については以下で説明します。

被害者等通知制度

被害者等通知制度は、被害者その他の刑事事件関係者に対して、事件の処理結果などを通知することにより、被害者を始めとする国民の理解を得るとともに、刑事司法の適正かつ円滑な運営に資することを目的として設けられた制度です。

通知を受けることができる方

通知を受けることができるのは

  • 被害者,その親族又は内縁関係にある方,婚約者の方など親族に準ずる方
  • 目撃者など参考人の方(一部の通知は除く)

です。

担当する検察官などに、通知希望の有無や通知を希望する事項を伝えると、後日、通知を希望した事項が電話や書面などで通知されます。

通知事項

通知の内容はおおまかには以下の通りになります。

  1. 事件の処理結果→公判請求、略式命令請求、不起訴、中止、移送、家庭裁判所送致の別及び処理年月日 など
  2. 公判期日→係属裁判所及び公判日時
  3. 刑事裁判の結果→主文、裁判年月日、裁判の確定及び上訴
  4. 公訴事実の要旨、不起訴裁定の主文、不起訴裁定の理由の骨子、勾留及び保釈等の身柄の状況並びに公判経過等1から3までの事項に準ずる事項
  5. 有罪裁判確定後の加害者に関する事項
    ア 懲役又は禁錮の刑の執行終了予定時期,受刑中の刑事施設における処遇状況に関する事項,並びに仮釈放又は刑の執行終了による釈放に関する事項及びこれに準ずる事項
    イ 懲役又は禁錮の刑の執行猶予の言渡しの取消しに関する事項
    ウ 拘留の刑の仮出場又は刑の執行終了による釈放に関する事項及びこれに準ずる事項

なお、不起訴の理由の概要や、有罪裁判確定後の犯人に関する事項などを通知するのは、被害者、その親族又は親族に準ずる方に限られています。

まとめ

  • 告訴人・告発人が請求することで、その事件の不起訴理由を知ることができる
  • 告知の内容は、起訴猶予、嫌疑不十分、嫌疑なし、時効完成などといった、不起訴の端的な理由のみ
  • 被害者やその親族などは、被害者等通知制度によって不起訴の理由の概要の通知も受けることができる