未成年者でも告訴はできる?

未成年

告訴能力とは

告訴能力とは、犯罪被害を認識し、犯罪被害の内容を理解しており、被害感情を有しており、告訴をすることによる効果等をある程度理解できる能力をいいます。

つまり、被害を理解して、犯人に対して処罰を望める程度の精神的な能力です。

告訴は犯罪事実を捜査機関に伝えた上で、犯人の訴追や処罰を求める意思表示であり、訴訟行為でもあるので、告訴する人にはこのような告訴能力が必要です。

未成年者の告訴能力

告訴能力がない者の告訴は無効となるため、特に、訴追に告訴が必要となる親告罪の被害者が未成年であった場合に問題になってきます。

未成年者といっても、刑事責任年齢(14歳)に達していれば、犯罪の意味などについては理解できると考えられるので、14歳以上であれば告訴能力があるとして問題ないでしょう。

では、14歳未満の未成年者には告訴能力があるのでしょうか。

告訴能力とは、「被害を理解して、犯人に対して処罰を望める程度の精神的な能力」でした。同じ年齢であってもそれぞれ精神的な成熟度合いには差があり、個々の被害内容の性質も異なりますので、一律に何歳以上であれば告訴能力があるかと言うことはできません。

以前は、強制わいせつ罪や強姦罪(現 強制性交等罪)が親告罪であったこともあり、未成年者の告訴能力が問題になった裁判例は性犯罪の被害についての物が多くなっていますが、おおむね小学生高学年以上であれば告訴能力が十分認められているようです。

10歳の告訴能力についての裁判例

未成年の姉妹への準強姦罪に問われた42歳男の控訴審判決で、名古屋高裁金沢支部は、当時10歳だった妹の告訴能力を認めました。

判決では、告訴能力とは「捜査機関に対し、自己の犯罪被害事実を理解し、申告して犯人の処罰を求める意思を形成する能力」としており、告訴の結果として生じる利益や不利益の理解までは必要ないとの見解をとっています。

知的障害により知的能力が7、8歳程度の成人被害者の告訴能力が認められた判例に触れながら、結論としては、「普通の学業成績を上げる知的能力を有した」小学5年生であれば、被害内容を具体的に理解しており、犯人に対して処罰を求める意思表示をしていれば、告訴能力が認められるとしています。

24日、被害者の家を出て、被告人の運転する自動車の助手席に乗せられて二人でホテルXに行き、客室内で被告人が被害者の性器に触ったり、なめたりした後口淫を要求され、口内に射精された。翌25日にも同じホテルの別の客室に入り、同様の行為をされた旨述べるとともに、上記検察官調書では、被告人に対する死刑を求めたが、検察官からそれはできないと教えられたので重い罰を与えてほしいと述べているのであるから、被害者が両日に被告人から受けた強制わいせつ被害の状況を具体的に供述しつつ、被害感情を抱いて、これに基づいて被告人の処罰を求めていると認められる。

当時10歳11か月の小学5年生であり、普通の学業成績を上げる知的能力を有した被害者が、被害状況を具体的に申告した上で、その犯人として被告人を特定してその処罰を求める意思を申告していたのであるから、告訴能力としてはこれを備えているというべきである。

-名古屋高判平22・3・10

12歳の告訴能力についての裁判例

他にも強姦事件において、12歳3ヶ月の小学6年生にも告訴能力が認められている裁判例もあります。

この事件では、被害者は犯人からどのようなことをされたかなど、被害の具体的な内容を述べた上で、犯人を処罰して欲しい旨や、許せないので出来るだけ長く牢屋に入れて欲しい旨を述べていました。

判決では、「被害の内容を具体的に認識しつつ、被害感情を持って被告人に対する処罰を求めているものと認められるのであり、告訴当時12歳3ヶ月の小学6年生であったからといって、自分の供述内容の意義を理解していなかったと疑うべき事情は窺われず、その告訴能力に欠けるところはない」とされており、12歳の告訴能力を認めています。

法定代理人の告訴

上で裁判例なども紹介したように、告訴能力が認められるのはおおむね10歳以上となりますが、親告罪において告訴能力が問題となり得るような事件では、未成年者の告訴能力について問題になり、裁判で余計な紛議が発生する可能性があります。

また、未成年者だけでなく、成年者でも精神上の障害などで事理弁識能力を欠くような場合には、告訴能力が問題となることもあります。

被害者の親権者や後見人には告訴をする権利が独立してありますので、親告罪で告訴能力が問題になりそうな事件であれば、法定代理人の告訴もあわせてしておくといいでしょう。

刑事訴訟法231条

被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。

 

まとめ

  1. 告訴能力とは→被害を理解して犯人に対して処罰を望める程度の精神的な能力
  2. 小学生高学年以上であれば告訴能力が認められる
  3. 法定代理人の告訴もあわせておくと告訴能力についての紛議を避けられる