士業が知っておくべきSEOの基礎知識【2021最新版】
士業事務所運営(行政書士事務所)の経験と、SEOコンサルタントの経験から、弁護士、司法書士、行政書士、税理士、社労士等の士業が知っておくべきSEOの基礎知識について解説します。
※現在、SEOコンサルティングやコンテンツ制作をご依頼いただいている事務所様からのリクエストで作成した記事ですが、多くの士業の方々にも役立ててもらえるように公開しております。
目次
1.士業事務所がSEOを行うメリット
①継続的な集客
一度、上位表示されるようになると、PPCと比較して低いランニングコストで集客を行うことができるようになります。上位表示されたサイトは、事務所にとって継続的に集客を行うことのできる財産となります。
ただし、最初に分析できる程度の結果が出るまでには時間がかかり、露出を直接コントロールすることができないため、結果について予測を行うことはできても、結果について確実なコミットができません。そのため、SEO対策を正しい方向で継続するにあたっては長期的なビジョンを前提として進めることが重要となります。
②リードナーチャリング
法律問題で困っている人でも、弁護士に依頼することでどのようなメリットがあるかしっかりとわかっている人は少ないです。依頼しないまま泣き寝入りしてしまう可能性のある相談者への情報提供をすることで、潜在相談者から見込み相談者へとナーチャリングして集客することができます。
このような潜在相談者が検索するKWは、必ずしもすぐにCVにつながるKWではないため、PPCで対象とするとROASが合わないKWも多いです。そのため、広い範囲からの集客を行うことができます。
③ブランディング
専門的なコンテンツを提供することで、その分野の専門家としてブランディングすることができます。
検索上位に表示されているコンテンツを持つサイトは、ユーザーから信頼性が高いサイトであると思われるため、運営している事務所の信頼性も上がりブランディングに繋がります(そもそも信頼性あることが検索順位に影響している(∵EAT))。
2.E-A-T
弁護士、司法書士、行政書士、税理士、社労士等のSEOは、法律・税務関連中心のSEOですので、Googleの「検索品質評価ガイドライン」のE-A-Tの要素が重要になります。ここではそれぞれの要素についての解説をします。
①Expertise 専門性
コンテンツ内容やサイト全体が、ある分野に特化しているかということが重要となります。例えば、法律からグルメ、スポーツまでの幅広く言及されているサイトより、法律のみに特化したサイトのほうが高く評価されます。また、その分野の専門家が記事を書くと、評価が高まります。専門性がある人が書いた記事や、その分野の専門サイトに掲載されているコンテンツであれば、当然記事の信憑性も高くなるとGoogleが判断するからです。
E-A-Tの中でも特に重要なのがこの「専門性」です(∵専門性は、権威性や信頼性の獲得に必要)。
②Authoritativeness 権威性
権威性のイメージは、知名度やブランドです。権威性はコンテンツの内容だけで担保できるものではなく、長期間のサイト運営の実績によって育まれるものでもありますので、長期的なSEO対策・コンテンツ制作が必要となります。
③Trustworthiness 信頼性
「信頼性」は、多くの人からコンテンツの内容が信頼されているかということが重要になります。例えば、法律について、弁護士が発信している情報と、匿名の個人アフィリエイターが発信している情報を比較したとき、ほとんどの人が全社を信頼するはずです。
自身がコンテンツ等を参考にするときにも、「誰が書いた内容か」というのは最低限気にするかと思います。ユーザーもGoogleもそれは同じで、信頼できる運営者であるかどうかという点はとても大切な要素です。
そのため、信頼性の高い専門家(事務所)が直接サイトを所有し運営することは、SEOの面から見ても効率的な集客方法となり得ます。
3.主なGoogleのアップデート一覧
①ベニスアップデート(2014/12/15)
ベニスアップデートでは、「ユーザーが検索した場所」によってSERPが作成されるようになりました。
②パンダアップデート(2015/7/24)
パンダアップデートは、コンテンツの「品質」を評価するアップデートで、独自のコンテンツが評価されます。
③Rank Brain(2015)
Rank Brainは、口語的な質問を自動学習によって処理することのできるプログラムのことです。(e.g. ここから近いコンビニ → ここ=位置情報)
④クオリティアップデート(2015年5月7日に実施)
クオリティアップデートは、サイト全体のコンテンツの品質を評価します
⑤ペンギンアップデート(2016/9/23)
ペンギンアップデートは、ブラックハットSEO(スパムリンクとウェブスパム等)を取り締まるアルゴリズムです。
⑥モバイルフレンドリーアップデート(2016/5/12)
モバイルフレンドリーアップデートでは、スマホ対応していないサイトの評価が下がることになりました。
⑦インタースティシャルアップデート(2017/1/10)
インタースティシャルアップデートでは、ファーストビューなどで過剰に広告が表示されるページの評価が下げられました。
⑧健康アップデート(2017/12/6)
ユーザーの財産・生命に関わる情報(YMYL)を根拠の薄い内容で配信しているようなサイトが上位に表示されることを防ぐためのアップデートでした。このアップデート後は根拠のない情報に関しては低い評価を受けるようになりました。
YMYL→Your Money or Your Life (医療、法律、金融関連等)
⑨コアアルゴリズムアップデート(2018/3~)
詳細は公開されていませんが、Googleは「より良いコンテンツを更新し続けることが唯一の対処法」と発表しています。
⑩スピードアップデート(2018/7~)
スピードアップデートによって、ページの表示速度が順位に影響を与えるようになりました。
⑪BERTアップデート(2019/10/25)
BERTとは、自然言語処理技術(NLP)の一種で、“Bidirectional Encoder Representations from Transformers”の頭文字をとったものです。これにより、「文脈」の理解までもが可能になりました。
⑫コアアルゴリズムアップデート(2020/12~)
医療系・法律系で大きな変動がありましたので、YMYL関連のコンテンツが主な対象となっていると考えられます。
⑬Passage Indexing(2020/11~)
日本語圏では2021年以降の導入となると思われますが、Passage Indexingによってそのコンテンツ全体だけではなく、コンテンツ内にあるニッチなニーズを満たすことができる情報に対して評価される場合があります。
(e.g. 家電についてのページから、電子レンジについての情報部分を認識して評価する)
⑭Core Web Vitals(2021/5~)
Googleの用意した指標を基準に、UXが検索順位へ影響を与えるようになります。
4.2021年のSEOでフォーカスするべきこと
①ユーザーの検索意図
Googleは、人々が何かについてもっと知りたいときに行く場所です。ユーザーが探している答えを提供するコンテンツを作成し、ユーザーが必要性を理解することで、ビジネス上の顧客を得ることができます。
そのため、ユーザーと検索の意図に焦点を当てることが最も重要です。検索意図へのフォーカスはSEO業界においては新しいトレンドや概念ではありませんが、検索者の意図と行動は常に変化しているため、毎年焦点を合わせることが重要です。特に2020年に大きく変化した年以降は、これが重要なポイントとなっています。
これからのSEO戦略は、Googleアルゴリズムが強化されるにつれて価値が低くなる従来の手法からさらに移行する必要があります(たとえば、すべての単体KWのページを作成する、ページ上に多数のKWを埋め込むことを目的とするページ作成、実用性のない被リンク対策、など)。フォーカスすべきは、SERP・検索者の意図がどのようなものであるかより深く理解することです。
Googleはすでにユーザーの意図に役立つと思われるSERPを示していますので、SERPのデータをKW分析、コンテンツ企画、リライト等のSEO戦略に使用することができます。Googleはユーザー検索意図により最適化するため、年々より高度になっていますので、SERP分析は2021年だけでなく、それ以降もより重要な手法となります。
②ユーザーの行動分析
SEOは、ほとんどトラフィックに集中されておりPVが主な指標でしたが、検索エンジンの進化に伴い、行動分析に関するデータが注目されています。
Googleはユーザーを満足させるために進化を続けており、サイトへの訪問を超えてサイト上でのUX(User Experience)、CVについても責任を負おうとしています。
つまり、ユーザーが何をしているのか、どのように行っているのか、そしてどのようにしてより実際に実行できるようにするのか、そしてそれは作成したコンテンツの評価にも結びつきます。つまり、単なるKWの量ではなく、ユーザーの行動分析がより重要になります。
アクセスしてきたユーザーがCVすることは、ユーザーの問題解決に繋がる行為ですので、CVRの向上は検索順位の向上にも直結します。
③Core Web Vitals
2021年5月からGoogleがCore Web Vitalsをランキング要素として導入したことで、ページエクスペリエンスの指標を無視できなくなりました。
・Largest Contentful Paint
ユーザーがページで最も有意義なコンテンツをどのくらい早く見ることができるかを表します。感覚的な読み込みスピードを測定し、ページ読み込みタイムラインにおいてページの主要コンテンツが読み込まれたと思われるタイミングを指します。
・First Input Delay
最初の入力までの遅延を表します。応答性を測定して、ユーザーが最初にページを操作しようとする場合に感じるエクスペリエンスを定量化します。
・Cumulative Layout Shift
ページがどのくらい安定しているように感じられるかを表します。視覚的な安定性を測定し、表示されるページ コンテンツにおける予期しないレイアウトのずれの量を定量化します。
ウェブサイトや企業は、さまざまなツールを介して提供されるデータを最大限に活用し、ページ速度、モバイルフレンドリー、レンダリング、画像、セキュリティプロトコルなど、すべてを最適化する必要があります。
以前のSEOでは、ページが検索エンジンのクローラーにとってアクセス可能で理解しやすいかどうかが重点的に意識されていましたが、ページを見たユーザーがどのように感じるか、どのようなユーザーが訪問するのかに注意を払う必要があります。
- ページがどれだけ速くスムーズに読み込まれるか
- ページがユーザーの操作に反応するようになるまでの時間
- ウェブサイトのモバイルユーザビリティ
- ユーザーがサイトを閲覧しているときのサイトの接続の安全性とセキュリティ
ページエクスペリエンスをSEO戦略に組み込むことで、今後のGoogleアルゴリズムの更新に先立ち、Webサイトのパフォーマンスとランキングを将来にわたって安定させることができる可能性が大幅に向上しますし、CVを今すぐ改善することもできます。
④モバイルSEO=すべてのSEO
コンテンツがモバイルで適切に機能することを保証することは、検索の大部分が行われている場所であるため引き続き重要です。モバイルUXに関しては、デザインのシンプルさが鍵です。また、想定されるユーザーにから、Webサイトのコンテンツやデザインを調整する必要があります。
しかし、「モバイルSEO=すべてのSEO」となっている理由は、Googleは基本的にデスクトップサイトを無視し、モバイルサイトがSERPのランキングを決定しているためです。
デスクトップとモバイルで異なるエクスペリエンスを提供することは問題ありませんが、Googleがデスクトップとモバイルのエクスペリエンスを異なる方法でランク付けしなくなることを知っておくことが重要です。
⑤長い形式のコンテンツ
Passage Indexingによって、長いページからGoogleがユーザーを必要な場所に誘導するができるようになるにも関わらず、一般的なトピックに関するページと詳細なサブページを分けて作成する必要はありません。それは1つにまとめて作成するべきです。
2020年を通して、教科書系コンテンツにおいては4,000文字を超えるページが2,000文字以下のページを大幅に上回っていることが多かったです。この長文コンテンツの傾向は2021年も続くと予想されます。この傾向に従うウェブサイトが増えるにつれ、求められるコンテンツの長さはユーザーニーズ答えるために必要な範囲で長くなると想定されます。
EATガイドラインに合致しており、自然言語処理で評価しやすく、読みやすさのスコアが高い、長文コンテンツを一貫して公開するが重要となります。Googleは、検索者が専門家のアドバイスを探しているときはそれを認識し、EATを欠いているコンテンツライターによって書かれた記事を上位にすることは避けることが予想されます。
SEOの基本事項についてまとめたこのレジュメも約5,500文字あります。このように、ユーザーニーズを満たすための情報提供をする教科書系コンテンツは、このように長文になる可能性が高いです。
5.実際にどのようにSEO対策を進めるのか?
定量的な部分とSEO運用の経験・感覚のバランスを取りつつPDCAサイクルを回していくことになります。
①KW選定(P)
Googleの月間検索数、Googleサジェストをベースに、各種ツールを使用することで対応するべきKWの洗い出しを行います。該当するKWに対して網羅的にコンテンツ作成を行うことで、定量的に網羅性を担保します。
②KWごとに検索意図を調査(P)
SERPの情報・検索上位コンテンツ、または、そのKWで検索するユーザーを想定することで検索意図を設定します。
③KWグルーピング(P)
検索意図が同じKWに対しては、1コンテンツで解説することが望ましいので、それらのKWについてはグルーピングをしてひとまとめでコンテンツ制作を行います。
④コンテンツ企画(P)
グルーピングしたKWをもとに見出しの構成を行います。ただし、単にKWのみではなく、ユーザーがそのキーワードで検索しないが、検索意図から本来知りたいであろうことも推測して見出しを追加できる場合には、そのような見出しを追加します。
⑤ライティング・編集(D)
知識を持ったライターをアサインしライティングを行います。ライティングされた原稿をSEOの観点から編集し、コンテンツとして投稿します。
⑥データ分析(C)
PV、UU、滞在時間、直帰率、CVR、検索順位等といった代表的なデータを中心に、さまざまな指標を適宜利用して、現状の分析を行います。しっかりとデータ分析する上で、50-100記事程度の投稿は必要になりますので、まずは④、⑤を進めることが重要となります。
⑦リライト・統合、CTA改善等(A)
⑥のデータ等からコンテンツのリライト・統合(検索順位、滞在時間、直帰率改善)、CTA等の改善(CVR、検索順位改善)を行います。
6.士業SEOについて
SEO戦略を決める際には経験も重要になりますので、弁護士、司法書士、行政書士、税理士、社労士等のSEOについては、同業者としていつでも相談に乗らせていただいております。
法律事務所・法務事務所等のSEO関連でお困りごとがある場合には、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。