不起訴処分に対する不服があるときの対処法

地方検察庁

告訴・告発をした事件について、告訴人・告発人が検察官の不起訴処分に対して不服がある場合には、主に下記の3つの対応をとることができます。

  • 検察審査会に対する審査申立て
  • 上級検察庁の長に対する不服申立て
  • 付審判の請求

今回はこの3つがそれぞれどのようなものであるかを紹介します。

検察審査会に対する審査申立て

告訴人・告発人は、検察官の不起訴処分に不服があるときは、その検察官の属する検察庁の所在地を管轄する検察審査会に、審査の申立てをすることができると定められています (検察審査会法2条、30条)。

検察審査会に対する審査申立てをする場合には審査申立書を作成し、不起訴処分を不当とする理由や事実を明記し、検察審査会に提出します。

検察審査会法2条

検察審査会は、左の事項を掌る。

一 検察官の公訴を提起しない処分の当否の審査に関する事項

二 検察事務の改善に関する建議又は勧告に関する事項

2 検察審査会は、告訴若しくは告発をした者、請求を待つて受理すべき事件についての請求をした者又は犯罪により害を被つた者(犯罪により害を被つた者が死亡した場合においては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)の申立てがあるときは、前項第一号の審査を行わなければならない。

3 検察審査会は、その過半数による議決があるときは、自ら知り得た資料に基き職権で第一項第一号の審査を行うことができる。

検察審査会法30条

第二条第二項に掲げる者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、その検察官の属する検察庁の所在地を管轄する検察審査会にその処分の当否の審査の申立てをすることができる。ただし、裁判所法第十六条第四号に規定する事件並びに私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定に違反する罪に係る事件については、この限りでない。

検察審査会とは

検察審査会は、昭和23年7月から始まった制度で、選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人の検察審査員で構成される組織です。検察官の不起訴処分が適切だったのかについて審査を行うことを主な任務としており、告訴人・告発人や被害者から審査の申立てがあったときは審査を行わなければならないとされています。

また、世間で話題になっている不起訴処分についてなど、職権でも審査を行うことができます。

検察審査会の議決

検察審査会は、不起訴処分について審査を行い、下記の3種類の議決のいずれかをすることになります(検察審査会法39条の5)。

  • 起訴を相当とする議決(起訴相当)
  • 公訴を提起しない処分を不当とする議決(不起訴不当)
  • 公訴を提起しない処分を相当とする議決(不起訴相当)

議決の比率は、平成29年12月31日までのデータでは起訴相当1.4%、不起訴不当9.2%となっており、検察の不起訴を覆したのは約10%程になっています。

「起訴相当」の議決をするためには、検察審査員11人中8人以上の多数によらなければならないとされています。

検察審査会法39条の5

検察審査会は、検察官の公訴を提起しない処分の当否に関し、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める議決をするものとする。

一 起訴を相当と認めるとき 起訴を相当とする議決

二 前号に掲げる場合を除き、公訴を提起しない処分を不当と認めるとき 公訴を提起しない処分を不当とする議決

三 公訴を提起しない処分を相当と認めるとき 公訴を提起しない処分を相当とする議決

2 前項第一号の議決をするには、第二十七条の規定にかかわらず、検察審査員八人以上の多数によらなければならない。

議決の効果

「起訴相当」や「不起訴不当」の議決があったときは、検察官は検察審査会の議決を参考にして、起訴をするべきかどうかを検討し、再び起訴・不起訴の処分をしなければならないと定められています 。

特に、「起訴相当」の議決があった事件について、検察官が再度の不起訴処分をするか、議決書の謄本の送付があってから3か月以内に起訴・不起訴の処分を行わなかった場合には、検察審査会は、弁護士である審査補助員を委嘱して、検察官の不起訴処分についての審査を行い、11人中8人以上の多数で起訴相当としたときは、起訴をすべき旨の議決(起訴議決) をすることになります。

その場合には裁判所が指定する弁護士が公訴を提起し、公訴を維持するため検察官の職務を行うこととされています。

検察審査会41条

検察審査会が第三十九条の五第一項第一号の議決をした場合において、前条の議決書の謄本の送付があつたときは、検察官は、速やかに、当該議決を参考にして、公訴を提起すべきか否かを検討した上、当該議決に係る事件について公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしなければならない。

2 検察審査会が第三十九条の五第一項第二号の議決をした場合において、前条の議決書の謄本の送付があつたときは、検察官は、速やかに、当該議決を参考にして、当該公訴を提起しない処分の当否を検討した上、当該議決に係る事件について公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしなければならない。

3 検察官は、前二項の処分をしたときは、直ちに、前二項の検察審査会にその旨を通知しなければならない。

検察審査会41条の2

第三十九条の五第一項第一号の議決をした検察審査会は、検察官から前条第三項の規定による公訴を提起しない処分をした旨の通知を受けたときは、当該処分の当否の審査を行わなければならない。ただし、次項の規定による審査が行われたときは、この限りでない。

2 第三十九条の五第一項第一号の議決をした検察審査会は、第四十条の規定により当該議決に係る議決書の謄本の送付をした日から三月(検察官が当該検察審査会に対し三月を超えない範囲で延長を必要とする期間及びその理由を通知したときは、その期間を加えた期間)以内に前条第三項の規定による通知がなかつたときは、その期間が経過した時に、当該議決があつた公訴を提起しない処分と同一の処分があつたものとみなして、当該処分の当否の審査を行わなければならない。ただし、審査の結果議決をする前に、検察官から同項の規定による公訴を提起しない処分をした旨の通知を受けたときは、当該処分の当否の審査を行わなければならない。

検察審査会41条の6

検察審査会は、第四十一条の二の規定による審査を行つた場合において、起訴を相当と認めるときは、第三十九条の五第一項第一号の規定にかかわらず、起訴をすべき旨の議決(以下「起訴議決」という。)をするものとする。起訴議決をするには、第二十七条の規定にかかわらず、検察審査員八人以上の多数によらなければならない。

2 検察審査会は、起訴議決をするときは、あらかじめ、検察官に対し、検察審査会議に出席して意見を述べる機会を与えなければならない。

3 検察審査会は、第四十一条の二の規定による審査を行つた場合において、公訴を提起しない処分の当否について起訴議決をするに至らなかつたときは、第三十九条の五第一項の規定にかかわらず、その旨の議決をしなければならない。

検察審査会41条の10

指定弁護士は、速やかに、起訴議決に係る事件について公訴を提起しなければならない。

上級検察庁の長に対する不服申立て

刑事事件に関する法令に基づき検察官が行う処分は、行政不服審査法の適用対象から除外されており、行政不服審査法の審査請求の対象とはなりません。

実務上は、不起訴処分に不服がある者は、上級の検察庁の長に不服の申立てをすることができる取扱いになっていますが、法令に基づくものではなく、検察庁の長の指揮監督権の発動を促す事実上のものにすぎず、申立てを受けた検事長等に応答の義務は生じません。

 

付審判の請求

どんな事件でもでも付審判請求の対象となるわけではなく、検察が組織的な理由等で起訴しづらい可能性のあるような罪状、すなわち、刑法193条から196条までの罪(公務員職権濫用、特別公務員職権濫用、同暴行陵虐等)又は無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律42条若しくは43条の罪(公安調査官、警察官の職権濫用) に限られています。

これらの事件について告訴・告発をした者は、検察官の不起訴処分に不服があるとき、不起訴処分の通知を受けた日から7日以内に、地方裁判所に付審判の請求をすることができます。

刑事訴訟法262条

刑法第百九十三条から第百九十六条まで又は破壊活動防止法(昭和二十七年法律第二百四十号)第四十五条若しくは無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成十一年法律第百四十七号)第四十二条若しくは第四十三条の罪について告訴又は告発をした者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、その検察官所属の検察庁の所在地を管轄する地方裁判所に事件を裁判所の審判に付することを請求することができる。

付審判の請求を受けた裁判所において、この請求に理由があると認めたときには、事件を管轄地方裁判所の審判に付する決定をし、その決定時に公訴の提起があったものとみなされ、裁判所が指定した弁護士が検察官の職務を行います。

まとめ

  • 検察審査会に対する審査申立て→「起訴相当」「不起訴不当」の議決があったときは、検察官が起訴・不起訴の処分を再度行われます
  • 上級検察庁の長に対する不服申立て→法令に基づくものではなく、応答の義務は生じません
  • 付審判の請求→刑法193条から196条までの罪(公務員職権濫用、特別公務員職権濫用、同暴行陵虐等)又は無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律42条若しくは43条の罪(公安調査官、警察官の職権濫用) の罪に限られます

通常は検察審査会に対する審査申立てを行うことが多くなると思います。検察審査会への申立手続についての書類の作成には、不起訴処分を不当とする理由や事実等も記載する必要があり、少しでも審査で不起訴処分が覆る可能性を高めるためにも、専門家へ相談して審査申立書の作成を進めるのがよいでしょう。

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