告訴前に親告罪の捜査はできるか

親告罪の告訴前捜査

親告罪では、告訴が訴訟条件になっていますので、起訴等をするのは告訴後のみとなります。とはいえ、告訴されたときに必要な証拠が集められておらず、訴追ができなくなってしまうような事はあってはいけません。

法的にも、親告罪であっても告訴が捜査条件とされているわけではなく、判例でも告訴前の親告罪に関する捜査を認めています(最決昭和36・12・23刑集第14巻14号2213頁)。

判例では告発についてですが、告訴についても同じ考え方を採ることができますので、告訴は単に親告罪の訴訟条件あるのみで、捜査機関は犯人や証拠を捜査することができます。さらに、目的を達成するために必要な取調や強制捜査も行うことができます。

告訴前捜査の限界

告訴の可能性がなくなった場合

親告罪を告訴前に捜査する目的は、告訴された際に訴追するためです。そのため、告訴できる全ての者(告訴権者)が告訴を取り下げたときや、告訴がないまま告訴期間を過ぎたような場合には、捜査をすることは許されないこととなります。

また、告訴前の捜査の結果、被疑者を逮捕する場合には、告訴権者に告訴をする意志があるかどうかを確認する必要があります(犯罪捜査規範121条)。

刑事捜査規範121条

逮捕状を請求するに当って、当該事件が親告罪に係るものであって、未だ告訴がないときは、告訴権者に対して告訴するかどうかを確かめなければならない。

被害者の秘密・名誉の保護

親告罪に設定された趣旨が被害者の秘密・名誉の保護にあるような場合には、犯罪の捜査の遂行で、被害者の秘密・名誉を傷つけることが無いように留意しなければなりません。

刑事捜査規範70条でも、告訴前の捜査では、「被害者またはその家族の名誉、信用等を傷つけることのないよう、特に注意しなければならない」とされています。

刑事捜査規範70条

警察官は、親告罪に係る犯罪があることを知った場合において、直ちにその捜査を行わなければ証拠の収集その他事後における捜査が著しく困難となるおそれがあると認めるときは、未だ告訴がない場合においても、捜査しなければならない。この場合においては、被害者またはその家族の名誉、信用等を傷つけることのないよう、特に注意しなければならない。

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